Uncategorized

営業マンがコロナ禍外食業界まわって感じた2つの事

ワイ食品系営業マン、20年この業界にいる。

コロナ禍の外食業界への影響は本当に大きい。
現場をまわると更によくわかる。
ニュースでやっている感じよりも更に深刻。

正直これをやったから劇的に良くなるといったカンフル剤はないと感じる。

そんな中、営業マン目線、肌感で感じた事、生の情報をあくまで独断と偏見でつらつら書いていく。

 

1、テイクアウトって取り組むべき?

結論から言うと取り組んだ方が良いと思う

テイクアウトは一日に何回も聞く用語になってきたよね。

どこもかしこもテイクアウト、テイクアウト。

実際どうなのよ?みんなやってるのかよ?

2020年8月にフード産業特化の求人サイトクックビズが、飲食店「テイクアウト・デリバリー・EC販売」実態調査なるものの調査結果を発表した。

調査結果の中には

・テイクアウトを提供している飲食店は、直近半年で半数以上が売上が上昇 ・テイクアウト、デリバリー、EC販売を提供している飲食店の9割以上が今後も継続して提供予定 とある。

これを見ると、テイクアウトは取り組み方次第で売上につながる可能性があって、今後も外食業界にはテイクアウトやネットショッピングは売上を稼ぐ新たな定番カテゴリーとして残っていくって事だ。

緊急事態宣言が出た後、テイクアウトに関しては当初、まあそうはいってもいずれ元に戻るかもだし様子見、うちの店ではそんなのはやらないよ派と、これはヤバイ!すぐにでも何か取り組まなければ派に分かれた。

営業で色々見た中で、成功例を挙げると

観光地の個人でやっている老舗和食店、普通の食事客の他、宴会、法事の食事会等で売上を形成していたが、コロナによって数ケ月先まで入っていた宴会が全てキャンセル!壊滅的打撃を受けた。

しかしここからが凄かった。ホームページにすぐテイクアウトのメニューを載せ、注文フォームを作成。SNSでテイクアウトを宣伝、売価は900円~3,000円と、買いやすい物から高めの売価の物も揃え、家飲み需要を予想し惣菜の9点盛も取りそろえた。

すぐには結果は出なかったが、徐々に口コミで広がり、この店には美味しいテイクアウトがあると認識させ、リピーターがつき、5月にはテイクアウトの売上でカバーしなんと前年実績を単月だがクリアしたとの事だった。

緊急事態宣言解除後も順調にお客がつき、コロナでのマイナス分を今後数ケ月で取り戻せると強気の発言もでている。

成功した理由

①大した売上にならないと考えず、とにかく泥臭く小銭を拾ってやるという姿勢

②ダメで元々、思いついたらなんでもやってみる行動力。

③SNSをゴリゴリ活用。

精神論みたいだと思うかもしれないけど、ほんとに重要。

やった事がなく今後、新たに始めようと考えている人は、まずは保健所に要相談だ。

店内の厨房で調理した料理をテイクアウトメニューとする場合には「飲食店営業許可」の範疇だが自家製ハムやアイスクリーム、パンなどの場合には追加の営業許可が必要だったりする。

2、テイクアウトに初参入していた飲食店が苦戦していた原因はこれ

地域によって、これからテイクアウトを始めるお店、本腰を入れたいと思っているお店はまだまだあると思う。参考までに、現場を見て苦戦の要因がいくつかあったので書いてみる。

苦戦の要因 ①飲食店の他にライバルが沢山いる。

飲食店のライバルは主に飲食店だったが、テイクアウト業態となるとそこだけではなく、スーパー惣菜、持ち帰り弁当、コンビニ、テイクアウト専門の企業と沢山あり、そこを視野にいれていなかったり、逆にそこに合わせすぎてしまい苦戦していた。

しかもこの業界は長年持ち帰りを前提にした弁当、惣菜を開発、販売をしてきているスペシャリスト業界、大半の消費者が思うテイクアウト基準はこの業界に設定されている。

その新たなライバルである、スーパー、コンビニ業界と飲食業界の弁当には大きな違いが2点ある。

1点目 スーパー、コンビニ業界の弁当、惣菜は飲食業界に比べて売価が安い。

スーパー、コンビニ業界弁当の売価は500円~800円あたりが多く、消費者はその感覚があるため、飲食店テイクアウトの売価設定が難しい。売価が1,000円超えてくると躊躇してしまう。そうなると売価の高い飲食テイクアウトが普段の食事の選択肢に入りづらくなる。

逆にスーパー、コンビニ弁当を意識しすぎて、売価を安くしすぎてしまい、安売りスパイラルに巻き込まれ、手間と人件費ばかりかかり利益がでない為結果苦戦してしまうケースもあった。

2点目 スーパー、コンビニ業界の弁当、惣菜は経時変化に強い。(時間が経っても食感、おいしさが持続している。)

スーパー、コンビニ業界は基本的に、

弁当、惣菜作成→売り場に並べる→消費者が購入→家に持ち帰って食べる。といった感じで、作成して食べるまでに凄い時間がかかる為、すぐに食べる前提ではない。

長年かけて様々な問題を解決するための調味料(サクサク感が持続する天ぷら粉、ジューシー感が持続する唐揚げの粉、衣に染み込みにくいあんかけのタレ等々)を使用し、おいしさ持続度を上げた商品の開発をしているのね。

なんなら、コンビニではレンジで温める事で美味しくなる調味料なんかを使用しちゃっている。

飲食店は当然調理してからすぐに食べてもらう事が前提のメニューが殆ど、テイクアウトで消費者の元に届くまでの時間がおいしさに対してマイナスに働いてしまい苦戦しているケースがあった。

苦戦の原因 ②そもそもお客がそのお店でテイクアウトをやっているのを知らないし、何を出しているのかわからない。

これは案外多く、「テイクアウト出しているけど全然出ないんだよ」と言っているお店は大体、きちんとしたPOPを出さず、手書きでメニュー名書いた紙を貼っているだけだったり、手書きで看板にテイクアウトありますだけを記入しているだけだったりした。

まずはテイクアウトやってるんだぜ❗️ってのをお客に認知させる作業が必要

じゃないと最初の選択肢に入らないっす。

 

そしてどんな物を出しているのか❓ってのをアピールする作業が必要

メニュー名だけは❌。必ず画像や、イラストでどんな物なのかお客にわかりやすく見せる。

特に地方だと、新しいシステム、よく分からない物に対してアレルギー反応が出て、面倒くさがる傾向あり。

上記をやらないとこんな感じでお客を逃している可能性あり。

例)ん?この店持ち帰り弁当あるんだ?→でもハンバーグ弁当800円って書いてあるけど、どの位のボリュームなんだろ?野菜ついてるのか?→うーん、そもそもテイクアウトちゃんとやってるかも良くわかんないからセブンイレブンで弁当買うか〜

みたいな。

面倒でもやっている事を認知させ、どんな物か?どんな味なのか?を簡単に想像できるような取り組みをし、メニュー、POPを作成するべし。

 で?結局どんなの出せばいのよ?

先に述べた通り、劇的に効果のある特効薬はないと思う。

ただ、見てきた中で、効果があったと思われるのは。

①スーパー、コンビニと同じようなメニューを避け、高価格の売価だとしても納得できる、お店や地域ならではの価値を持ったメニューを提供する

例)〇〇牛使用❗️特製焼肉弁当、自家製たれ焼き特製うな重等

〈メリット〉他店舗との差別化が図れ、そのメニュー目的のリピーターがつき継続的にお客がつく。きちんとブランディングできれば口コミで広がりやすい。

〈デメリット〉元々の売価が安価なお店の場合、高価格の売価帯が馴染むまで時間がかかる。凝った作りになる場合が多く作成に手間がかかる。売価が高いため頻繁には注文しづらく一見さんだと手を出しづらい。

そしてそれとは真逆な方法として

②写真や、メニュー名で味の想像がしやすく、リーズナブルな価格帯のメニューを提供する
例)天丼、カツ丼、生姜焼き弁当等

〈メリット〉味の想像がしやすい定番メニューなので、一見さんも注文しやすい。売価が手頃で購入ハードルが低いので試し買いが発生する。

〈デメリット〉どこにでもあるメニューなので特徴が出せず固定客がつきにくい。安売り競争に巻き込まれ売価を高くできない。そのため数を売らなければいけなくなり、作業が多い割に利益が出ない。

どちらも一長一短だ、できればリーズナブルな物だけ出すのは避けたほうが良い。

売価は下げるのは簡単だが、上げた途端にいきなりお客が離れる事が多々ある。

テイクアウトは店で出す物をそのまま出すのも、もちろん良いが、その場ですぐ食べず時間経ってから食べる事が多々あるので、それを踏まえた経時変化に強い食材、機能性調味料を使用してテイクアウトに特化したメニュー作成も視野に入れてみると、メニューもお客も幅が広がると思う。

地域性や、店の形態で変わると思うのでトライアンドエラーを繰り返しオリジナル性を出すと良いのかなと感じる